本当に、偶然だった。
野外研究の途中で立ち寄ったポケモンセンターで、キミの名前を聞いた。
同じ地方にいるというのに、テレビでしかキミの無事を知ることが出来なくて。
キミの名前を噂で聞くたび、嬉しさと、少しの寂しさを感じていた。
会いたい、なんてそっと呟いてみたりして、自分らしくないと自嘲した。
…そして、コンピューターと向き合う毎日の中で、会いたいと願ったことすら忘れていたはずだった。
僕は彼の立つ舞台からもう降りてしまった。
彼には、ずっと自分を追いかけてもらいたかった。
それが、いつか追いつかれ、追い越されるのが怖かった、というのも、嘘じゃない。
もちろん、ポケモン研究は新たな夢。尊敬する祖父の後を継ぎたい、というのも確かな思いだったけれど。
テレビに映るキミはさらに強くなっていた。
夢を目指し、バトルを極めようと挑み続ける姿は、とても輝いていた。
それで、良かった。
僕がいなくても、キミは輝き続けるのだと。
もっとも、ブラウン管を通すより、傍で見た方が、キミの瞳が誰よりも輝いているのが分かるのだけれど、贅沢は言ってはいけない。
僕は、舞台を降りたのだから。
もう、傍にいてはならないのだから。
新たな仲間と共に、僕とは違う目線でポケモンを見て、知らずに誰かを導いていく。
たくさんの人と出会って、自分の目で見て、強くなっていく。
…それは、キミが僕に教えてくれたんだっけ。
そういえば、ライバルがいる、と言っていた。
どんなやつか知らないけれど、彼がライバルと言うのだから、きっとバトルも強いのだろう。
いつか、会ってみたい。
なんて、思っていたけれど、今は180度考えを改めている。
彼のライバルがあんなやつだなんて思わなかった。
今なら、戻ってもいい気さえする。
僕のほうがもっと相応しいだろう?キミの『ライバル』に!!
本当に、偶然だった。
野外研究の途中で立ち寄ったポケモンセンターで、キミの名前を聞いた。