某日、某街。
サトシ達一行はこの街で行われる大会の話を聞きつけ、滞在することにした。
大会は2日後。シンオウリーグと比べれば小さく、非公式な大会だが、久々の大舞台とあってサトシは意気込んでいた。
某日、某街。
シンジはこの街で行われる大会の話を聞きつけ、昨日から滞在している。
大会は2日後。シンオウリーグと比べれば小さく、非公式な大会だが、手持ちの強化のためにシンジは参加することを決めていた。
街の至る所にあるバトルフィールドは既に滞在していた大会参加予定者の予約で埋まっている。
それならいいところがあるわ、とジョーイに紹介されたのは街の外れの荒野。ジョーイが太鼓判を押しただけあって、ここならいくらでも暴れられそうである。
そんなわけで、この広いシンオウ地方で二人が再会を果たしたのは奇跡でもなくただの偶然であったのだ。
「――だから、そんな考えじゃポケモンたちが可哀想だって言ってんだろ!」
「お前には関係無い。オレの邪魔をするな」
「こんな無理な特訓、見て見ぬふりなんて出来ないだろ!ポケモンセンターに連れて行ってやれよ!!」
「バトルだったらこの程度の展開、腐るほどあるだろう。実戦を想定して何が悪い?……オレに構うな。邪魔だと言っている」
「聞けよオレの話!そうじゃなくて――」
恒例となりつつある二人の衝突に、タケシとヒカリはもはや止めようとすら思わなかった。
どうせ止めたって無駄なのだ。今この場を収めたって、すぐにまた衝突することは目に見えている。それなら気が済むまでやらせといた方がいい。
「ねぇ、タケシ」
「どうした?ヒカリ」
白熱し始めた(どう見ても一方的に、だが)彼らから一歩離れて、タケシとヒカリは顔を合わせた。
「最近思うんだけどね、シンジって本当にサトシのこと嫌ってるのかなって。タケシはどう思う?あ、見下してるってのはナシね」
「うーん…難しい問題だなぁ。お互いを理解しているとは思えないけれど、嫌いかって言われると違うような気がするな。でも、いきなりどうしたんだ?」
「シンジの性格考えたら、あ、たとえばサトシのこと嫌いだったらね?そもそもサトシの話に耳を貸さないだろうなって。でもシンジは結構律儀に相手してるでしょ。迷いの森ではご丁寧にもサトシに忠告したらしいし、何度か助けてあげてるし、いきなり話に割り込むし…。時々は聞いてても相手にしてないけど……」
あーもーっ、うまく言えない〜!と頬を膨らませながら二人をじっと見つめ始めたヒカリに、言いたいことは何となく分かるんだけどな、とタケシはヒカリにならって二人を眺めた。
シンジとサトシはその視線に気づくことなく口論を続けている。
いつもなら馬鹿らしくなったシンジが早々に立ち去って終わるのに、今回は未だに終わる兆しを見せない。新しい話題が浮上したのだろうか。
「シンジって興味ないことは視界に入らないタイプに見えるのに、結構サトシには突っかかるから不思議だとは思ってたのよね。もしかしたら私の予想が当たってるかな、なんて思ってるんだけど、今のままじゃ分からないし――」
「――だったらお前のバトルはどうなる?戦略はまるで無し。相性など考えていない。オレのバトルスタイルに文句があるならちゃんと結果で示せ」
「それは……相性で結果が決まるなんておかしいだろ!相性が悪いからって勝てないなんて決めつける方が間違ってる!!それに、それを言うならお前だってイワーク相手にエレキッド出すのはおかしいだろ!?」
「タイプ一致の技ばかり覚えさせるお前とオレとは違う。一緒にするな。それに攻撃中心、勢いばかりのお前の方が結果としてポケモンを傷つけていると思うが?」
「オレだってちゃんと交わさせてるじゃないか!お前が馬鹿にしたコンテストだって、オレはいろいろ学んだぜ!!」
「コンテスト自体を馬鹿にした覚えはない。タッグバトルに出たオレを詰ったお前がよりにもよってコンテストに出たからオレは」
「――でね、もういっそ、白黒つけちゃおうと思って」
「え、」
突然背後に生まれた影に、シンジが振りむこうとした、その時。
ドンッ!
強い力で背中を押され、受け身をとる暇も無くシンジは倒れた。
そして、
「「いっ……」」
「『押してあげるよ』……なんてね☆」
前向きに倒れたシンジ、
咄嗟に支えようと手を伸ばしつつも巻き込まれて一緒に倒れたサトシ、
ヒカリを止めようと手を伸ばした状態のまま固まったタケシ、
そして彼女らしからぬ笑みを浮かべたヒカリの間を、
生暖かい風がすり抜けていった。
「………たっ―――――!!!!」