あと二歩。
一っ…踏み込みと同時に、頭を突き出す!
パァンッ!
勝敗を決める発砲音が、空気を切り裂いた。
「は、ぁ……」
流れる汗が、頬を伝って地面に落ちた。拳で拭って、顔を上げる。
先にゴールテープを切ったのは、
「おめでとうございます。これを胸につけ、待機していてください」
「一位のリボン…。オレが勝ったのか?」
「はい!…あの、私」
「先輩、おめでとうございます!」
見知らぬ委員からバラの形を模したリボンを受け取ろうと、手を伸ばす。その色は金。
伸ばした手は、届く前に、背中の衝撃で空振ってしまったけれど。
「ゴールド……お前は何度言ったら」
「レッド先輩!オレが言うのも変ッスけど、でもおめでとうございます!!」
「…ま、いっか。サンキュ、ゴールド。まだお前に負けるわけにいかないぜ」
ゴールドの手には、銀色のリボン。
ゴールテープを切るその瞬間まで隣に存在を感じていてから、僅差だったのだろう。
でも、勝ててすごく嬉しい。こんなに嬉しいと感じるのも、随分久しぶりのことだ。何年ぶりだろうか。……あぁ、この学園にきてから、初めてかもしれない。
「ゴールド、ありがとう」
「へ?何がッスか?」
好敵手のいない110メートルハードル走は、一位だった。
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『これより、昼休みとなります。各自、休憩に入ってください。また、昼食場所は……』
一日目 午前 完