『カントー学園』
タマムシ大学の附属学校として近年創立されたもので、初等部と中等部、そして高等部が隣接しているマンモス学校である。
学科は研究科、トレーナー科、総合科の3つに大別され、更に無数の専門コースに分けられる。
その内、レッドとグリーンはトレーナー科に属している。
1年ということで、専門コースはまだ無い。
「ふぁ…眠い。あの校長、話長すぎると思わないか?」
「お前は寝過ぎだろう」
欠伸をしながら廊下を歩くレッドに、横を歩きながら呆れるグリーン。
廊下は胸に造花をつけた新入生で溢れ、騒がしい。
入学式に間に合うことは出来たが、一番最後に入場したため最後尾に座った二人。
沢山の数の保護者がすぐ後ろで座っていたため、レッドは寝るにも寝られなかった。
「深夜、面白い番組がやっててさ。モンジャラの蔓を全部取ったらどうなるかって。結果が分かる前に寝ちゃったけど」
「またそんな下らない番組を…」
擦れ違う中で、幾人もの生徒に声を掛けられる。
中には羨望の視線も多い。
第9回ポケモンリーグで優勝と準優勝という結果を残した二人を慕う者は一年をたった今も数多く存在する。
リーグ後、初等部に彼らが編入してきた時は、それはそれは大騒ぎとなった。
そして、もう一人。台風の目となった人物。
二人は教室の前で立ち止まった。
右上には『トレーナー科 1−A』の文字。
「…いくか」
「…いくぞ」
ガラ…。
ゆっくりと開いたドアの向こうには、教壇に立つ少女。
音に気づいて、振り向く。
体に沿ってふわりと浮き上がる栗色の髪。
「アラ。また三人とも同じクラスなんて運命ね。レッド、グリーン、今年もアタシを楽しませてくれるわよね?期待してるわ」
大輪の花のような艶やかさで微笑むブルーは、残念ながら二人にとって悪魔にしか見えなかった。