がたがた


[注]
ホラーが苦手な人はバックスペースをお願いします。
カニバリズム的表現があります。








さむい、くらい夜でした。
窓から外を眺めていたグリーンくんは、振り向いて、

「木が風でひゅうひゅう吠えてるぜ」と、言いました。


「こういう時には、おばけの話をするのが一番だよな」

レッドくんは、カーペットの上で毛布に包まれながら、あとずさりしました。


「レッド。」と、グリーンくんがたずねました。
「おまえさ、おっかないこと、きらい?がたがた震えるの、きらい?」

「さあ、どうかな」

と、レッドくんは言いました。

グリーンくんはお茶を入れかえました。
それから、座って、話しはじめました。


「オレが小さかったころのことなんだけどさ」

と、グリーンくんが言いました。

「かあさんととうさんとオレは、ピクニックに行った。
そしたら帰り道が分からなくなっちまってよ、母さんは心配して言ったんだ。

『私たち、早く家へ帰らなくちゃ。あの人に会うと困るもの』

『それ、どういう人?』とオレは聞いた。

『恐ろしいやつだ』と、とうさんは言った。

『そいつは夜になると出てきて、晩飯に子どもを食べてしまうんだよ。』」


レッドくんはお茶をすすりました。
それから、「グリーン。」と、言いました。

「これ、きみの作り話だよね?」

「そうかもしれないし、違うかもしれないな」と、グリーンくんは言いました。


「かあさんととうさんは、道探しに行った」

と、グリーンくんは続けました。

「『戻ってくるまで、待っていなさい。』と言い残してさ。

オレは木の下に座って待っていた。

森は暗くなった。

怖かった。

そのとき、オレ、輝いてる目をふたつ見たんだ。

それが、あいつだった。

そいつ、オレのそばに立っていたんだよ」


「グリーン」と、レッドくんはたずねました。
「これ、ほんとにあったこと?」

「そうかもしれないし、違うかもしれない」

と、グリーンくんは言いました。


グリーンくんはお話を続けました。

「そいつは、ポケットから縄を引っ張り出した。

『オレは今、腹は減ってない』と、そいつは言った。

『おいしい子どもを山ほど食ったところなんでな。
けれど100回縄跳びをすれば、オレはまた腹が減る。
そしたらおまえを食ってやるんだ……』

そいつは縄のかたはじを木に結び付けて、

『縄をまわせ!』と、大声で言った。

オレは縄をまわした。

そいつは20回とんだ。

『腹が減ってきたぞ』と、そいつは言った。

そいつは50回とんだ。

『ますます減ってきたぞ』と、そいつは言った。

90回とんだ。

『すごく腹が減っているぞ!』と、そいつが言った」


「それから、どうなった?」

と、レッドくんはたずねました。

「食われちまうわけにはいかないからな」

と、グリーンくんは言いました。

「オレは縄のはしを持って、木の周りをぐるぐる走った。
そうやって、そいつを木に縛り付けてやったのさ。
やつはほえたり叫んだり。

オレはすたこらさっさと逃げ出した。
それからオレは、とうさんとかあさんを見つけた」

と、グリーンくんは言いました。


「オレたち、無事に家に帰ったのさ」


「グリーン」と、レッドくんは言いました。
「これ、ほんとの話?」

「そうかもしれないし、違うかもしれない」

と、グリーンくんは言いました。


レッドくんは、テレビをつけました。
そして、ふたりはテレビのそばににじり寄りました。

テレビの中では巷で大流行の芸人『青空ピッピ・プリン』の二人が観客をわかせていましたが、
それを見ながらもふたりは怖がっていました。

手に持っているカップが震えています。

ふたりともがたがた。

そしてそれはまた、気持ちの良い、あったかい感じでもありました。

 

2010.10.07. up.
深読みしたら怖すぎる…

TOP

Image by web*citron  Designed by 天奇屋