レッドくんは目を覚ましました。
「うわぁ。」
と、言いました。
「この部屋、すごい散らかりようだ」
いつもであればレッドが遊びに行っている間におかあさんが片付けておいてくれるのですが、
当のおかあさんは数週間前からずっと、何年ぶりかに帰ってきたおとうさんと、旅行に行ってしまっているのです。
「片付けが大変だな」
グリーンくんがドアの向こうから顔を出しました。
「よお、レッド。その通りだ。すごく散らかってるな」
レッドくんはあたまからすっぽりお布団をかぶりました。
「明日片付けるよ」と、レッドくんは言いました。
「ぼく、今日はのんびりするから」
グリーンくんは部屋に入ってきました。
「レッド。」と、言いました。
「おまえのズボンと上着、床に落ちてるよ」
「明日片付けるよ」と、レッドくんはお布団の下から言いました。
「一階の台所の流し、汚れた皿でいっぱいだぜ」と、グリーンくんは言いました。
「明日するよ」と、レッドくんは言いました。
「おまえの椅子、ほこりだらけだ」
「明日するよ」と、レッドくん。
「おまえの部屋の窓、磨かなくちゃな」と、グリーンくん。
「庭の植木には水をあげなくちゃな」
「明日するってば!」と、レッドくんが叫びました。
「なにもかも、みんな明日する!」
レッドくんはベッドに腰掛けてしまいました。
それから、「……はぁ」と、言いました。
「憂鬱だ」
「なんでだよ」と、グリーンくんがたずねました。
「明日のこと思うと」と、レッドくんは言いました。
「明日しなけりゃならないこと、一つ残らず思っているとさ」
「なるほど」と、グリーンくんが言いました。
「明日はすごく大変だな」
「でもさ、グリーン」と、レッドくんは言いました。
「もし、いますぐ、ぼくがだよ。ズボンと上着を拾い上げたら、明日はもう拾わないでいいんだろ?」
「そうだな」と、グリーンくんは言いました。
「しなくてもいいんだ」
レッドくんはズボンと上着を拾い上げました。
タンスにしまいました。
「グリーン」と、レッドくんは言いました。
「もし、いますぐ、ぼくがだよ。お皿を洗ったら、明日はもう洗わないでいいんだろ?」
「そうだな」と、グリーンくんは言いました。
「しなくていいんだ」
レッドくんは階段を降り、お皿を洗って乾かしました。
そして、食器戸棚にしまいました。
「グリーン」と、レッドくんは言いました。
「もし、いますぐ、ぼくがだよ。椅子のほこりを払って、窓を磨いて、植木に水をやれば、明日はもう、そんなことをしないでいいんだろ?」
「そうだな」と、グリーンくんは言いました。
「それ、みんなしなくていいんだ」
レッドくんは椅子のほこりを払いました。
窓を磨きました。
植木に水をやりました。
「さぁて」と、レッドくんは言いました。
「これでもう、憂鬱じゃない」
「どうしてだよ」と、グリーンくんがたずねました。
「だって、仕事を全部してしまったから」
と、レッドくんは言いました。
「これで、明日をぼくがほんとにしたいことのために空けておけるよ」
「それ、なんだよ」と、グリーンくんがたずねました。
「明日はさ」
と、レッドくんは言いました。
「のんびりできるってわけだ」
レッドくんはベッドに戻りました。
それから、あたまからお布団をかぶって寝てしまいました。