「次元の塔に?だがあそこは選ばれたポケモン…おまえとしか入れないんだぞ」
の呟いた単語に反応して、ぺラップが言う。
次元の神ディアルガに会いに行くには、どうしても塔の最上階に行かなければならない。
けれど次元の塔に入れるのは、塔が修復された今でもディアルガに心を許されたとだけで、ギルドやの探検隊のメンバーが一緒に行くことはできない。
「うん。だからぼく一人で行ってくる。プクリン、ぼくがいない間、をお願いしていい?」
「馬鹿を言うな!次元の塔は、たとえおまえの実力だろうと、無事でいられる場所じゃない。それはおまえが一番分かっているだろう」
「分かってる。けど、をこのままにしておけないから。もしディアルガが原因じゃなくても」
もしダークライが原因だったとしたら、ダークライを探す。
親友が目の前で苦しんでいるのに、何もしないなんてできない。いくら危険なところだって、可能性があるなら行く。
が今のぼくの立場だったとしても、きっと同じことをする。
が自分の思いを口にすると、君の気持ちはよく分かった、とプクリンが頷いた。
「けどね、、ぼくは友達をなくしたくないよ。もし君にまで何かあったら悲しいし、怒るよ。ここにいるみんなそう思ってる。それでも一人で行く?」
再度問いかけるプクリンに、は首を縦に振った。
「うん。ただし、出発は明日の朝だ。今日中に装備を完璧にしておくこと。それからはここで看るから、当分の間はきみもギルドで寝ること」
「分かった。――ガルーラおばさん、それとビッパ。これから倉庫の中身を整理したいんだけれど、手伝ってくれる?」
「勿論でゲス!こんな時でもあっしを頼ってくれるなんて…感動でゲスっ!!」
「良かったわねぇ、あんた。そうそう、カクレオンのお店で『ふっかつのたね』が大量販売されてたわよ。事情を話して安く売ってもらいなさい」
いままで二人で貯めてきたから、お金はそれなりにある。
二人で相談してから使う、と約束した貯金だけれど、絶対怒りはしないだろう。
これから行くところを考えれば、準備のしすぎということはない。たねだって、いくつあっても足りないくらいだ。
出発は明日、朝日が昇る頃。
「ラプラス、ありがとう」
日の出と同時に出発したというのに、天空の島に泳ぎ着く頃には、太陽はすっかり姿を見せていた。
ラプラスの背中から降りて砂浜に立つと、ラプラスは再び気遣わしげに眉を寄せてを見下ろした。
「さん…、……本当に、一人で行くんですか?」
海岸で待っていたラプラスが、日の出の中にだけの姿を認めたときから、ラプラスは何度もこうしてに問うている。
プクリンの託を受けたときは、てっきり二人で次元の塔に行くものだと思っていたから。
「大丈夫だよ。がいないのは辛いし寂しいけど、でもさ、がいなくたって、今ここにがいたらどんなことを言うか、は、わざわざ考えなくても分かるから」
だから大丈夫だ、とが言う。
「……、そうですか。どうか、どうか気をつけて進んでくださいね。私はここで待っていますから」
さんだったらこんな無茶なことはしないでと言うだろうに、と思いながらもの決意の強さに気づいたラプラスは、それ以上説得するのを止めた。
二人にしか分からないこともあるだろう。
もはや、ここまで連れてきてしまったことを悔いることにならないように、神に祈るだけだ。
いや…、とラプラスは見上げた。
ここは小さな島だが、天に届きそうな塔が聳え立っている。
神さまは、ここにいる。
「行ってくるね」
どうか、全部うまくいきますように。