時間はあるか、このままゲートへ行ってもいいが、よければ案内しようと言うキョウに首をぶんぶんと縦に振り、ついていく。
その結果、サファリゾーンを熟知していたキョウのおかげで、未捕獲のポケモンを捕まえられただけでなく、生息するポケモンの習性まで知ることが出来た。
高レベルのポケモン、群れを作るポケモンに襲われはしたが、捕まえたポケモンと、彼のポケモンとで力を合わせれば、難なく捕獲できた。
それにしても…彼のポケモンは良く鍛えられている。
名の知れたトレーナーか、それとも……。
そうこうしている内に、見覚えのあるゲート口が遠くに見えた。
「このエリアのポケモンなら、君の捕まえたポケモンであればどれでも楽に倒せるだろう」
「あ、じゃあ…。キョウさん、本当にありがとうございました」
「なに、礼には及ばん。君の助力があったから、オレも望む力量のウツボットを捕獲できたしな。オレ一人であれば、今頃死んでいたやもしれん」
キョウが言うのは、彼が探していたウツボットを捕まえたときのこと。
偶然群れを見つけた時「日を改めて捕獲する」と言われたものの、森の中で隠れるように生息する食虫ポケモンを群れごと見つけられたのは、幸運そのものである。
捕獲にはなによりも運が大事であることを知るは、これを逃すのは勿体無い、絶対に勿体無い。そう言ってある意味に強引に手を貸した。
ただ食虫ポケモン達の棲み処で『主』を誘き出すために、マダツボミにちょっかいをかけたところ、ひどく怒った『主』とその取り巻きが……あぁもう思い出したくない。
キョウは自分の身を囮に……といっても、直前で脱出し、更に同士討ちまでさせた。映画みたいというか、まんま映画だった。
きっと私がいなくても、彼一人でどうにかしていただろう。でもまぁ、自分が溶けたり人が溶けるようなところを見ることにならなくて良かった。本当に良かった。
「それはタマムシのジムリーダーがウツボット使いで、あの蔓の特徴を体験していたから…。そうじゃなかったら、きっとわたしは何も出来なかったと思います」
「そう己を卑下するな。うむ…アーボ、ズバット、ドガース、ベトベターの生息地。分かるかな?」
「順に4番道路、おつきみやま、ポケモン屋敷、ポケモン屋敷。今現在確認されているのはこれだけです。検証不足ですし、他にもあると思いますけど。あとポケモン屋敷はまだ行ったことないのでなんとも…って、」
思いつくままに答えを上げていると、ほんの一瞬、蛇のように冷たくて絡みつく視線を感じた。
きょろきょろと周りを窺うけれど、誰もいない。ここには私と彼しかいない。…気のせいか。こんな良い人が、こんな視線をするわけないし。
「キョウさん?」
「なに、驚いたのだ。我が娘でも一つ答えるのがやっとだというのに、娘より幼い君が全て正解だとな。ファファ、あとで君の爪の垢でも貰っておこうか」
「……キョウさんに渡すと、なんだか悪用されそうなんでやです」
「いくらオレでも、呪術は専門外だ」
あれ、呪術…まじないは祈祷師だっけ?
忍者は毒か。それから超能力が使えるのはサイキッカーで…特殊タイプ使いだからって一括りにしては失礼だ。
「今度は君の『本当の』バトルが見たいものだな。明朝9時、セキチクジムに来るがいい」
では御免と、キョウさんは消えた。
もちろん効果音は『ドロン』だ。
極めれば、なんでも格好良いもんだなぁ…。ってこれも失礼か。
その後、ゲート口で事情を伝えると園長の家に招かれ、入園料とは別に秘伝マシン03【なみのり】と04【かいりき】をもらってくれと言われた。迷惑料…に、きっと、口止め料込みだ。
秘伝マシンは簡単に手に入るものじゃない。咽喉から手が出るほど欲しい、手に入れるためならいくらお金を積んででも、って人もいるだろう。
けれど、これを受け取って、無かったことにしていいんだろうか。他のコースに入り込む人がいないともいえない。もしキョウさんのような人に会えなかったら、その人はどうなるだろう。
結局全エリアに柵を打つことを約束させてから、秘伝マシンを受け取った。
なみのりはカイとハクに覚えさせて……、かいりきは、レンかな。
2011.04.08. up.