「もう…行くのね?」
「うん。ありがとう、カスミ。貴方に会えて良かった。それに…メイドさん達もありがとうございます、親切にしてくださって。嬉しかったです」
深く頭を下げる少女の姿に、ざわめきがさざ波のように起こって、すぐに消えた。
「また会えた時はバトルしましょう。約束よ」
「分かった。次のバトルはギャラドス同士の対決ってのもいいかもね。楽しみにしてる」
「ええ。あんたに負けない水ポケモンを育てるんだから。まずは元気なコイキングを釣ってくるわ。今度は泣いたって許さないんだからね」
「わ、怖いなぁ…。じゃあ行くよ。ありがとう!それから、さよなら!!」
朝日の中、駆けて行く少女の姿。
見えなくなるまでずっと手を振り続けながら、カスミはそっと呟いた。
「嘘でもいいから、『またね』くらい言いなさいよ馬鹿…」
あふれ出す涙は、心配しておろおろし出すメイド達を見ても収まらなかった。
自分でも理由が分からない。別れがさみしいのか。それもある。だけどこの気持ちはもっと複雑で、自分にしか分からなくて、それでいて自分から一番遠いところにあるもの。
感情のままに、カスミは思い切り泣いた。
それから、泣き腫らして赤くなった目のまま、朝日に向かって叫んだ。
「絶対、あんたよりも強くなってやるんだから!!」
岬の小屋のマサキは、とっても気さくなお兄さんだった。
の話を聞くやいなやオツキミ山へと向かい、「ピッピー出てこいやー!」と聞きようによってはとても危険な言葉でピッピを誘い出した。
その間にもこの度全国に普及した『ポケモン転送マシン』の自慢が止むことが無かったのが欠点といえば欠点かもしれない。
名前を聞いただけで「オーキド博士から聞いとるで!!ちゃんやろ!いつ来るか楽しみやったんや!!」と笑顔を浮かべて紅茶と茶菓子を振舞ったあたり、とてつもなく気の良い人のようだ。そんなこんなで、第一の難関かと思われたピッピのデータ集めは何の障害もなく終わってしまったわけだ。
「うん……ヤマブキシティに…クチバシティも、タマムシシティも行けるな。はたまたシオンタウンか…。どうしようか、どうしたい?レン」
「ガァ」
随分と長い間地図とにらめっこしていたが最終的に助けを求めたのは、隣にいたレン――リザード――だった。
そして呆れ半分、諦め半分、といった表情でを眺めていたレンが指差したのは。
「クチバシティか。じゃあ5番道路から地下通路、それから6番道路だな。じゃあ今日はクチバシティを目指して頑張ろう!」
高らかに響く、仲間たちの力強い鳴き声。
2009.06.19. up.
2012.02.22. 改