カントー学園 ジョウト編




「アホくさ。そんなに気になるなら、さっさと話しかけりゃあいいのによ」

後ろの席の住人がぽつりと呟いた言葉に、は振り向いて歯を剥いた。
おおこわ、とそいつは大げさに身震いして、それからにやにやと笑う。

「…あんたって、ほんっとムカつくやつよね」
「そりゃどーも」

瞳の色と爆発した前髪が特徴的なコイツは、冗談でもなんでもなくゴールドという名前だ。

これで学年問わず女の子にモテるってんだから、世の中分からないもんだ。
今だって、視線が痛い。あーまた呼び出されるかな。誤解解くの、めんどうなんだけど。揃いも揃って節穴ばかり。嫌になる。

「ほら、行っちまうぜ?」
「だから何」

アノヒト次移動教室なんでしょ。
知ってるよ、そんなこと。

主語がないゴールドの言葉が暗に言っているのは、わたしの気になってる人。
情熱的な髪色をしているけど中身はとびきりクールで、ゴールドと正反対。

私とあの人は同じコースで、クラスだけでも10以上ある中、今年初めて同じクラスになった。
ついでにゴールドとは3年間同じクラスで、なんだかんだ縁だけは深いのかもしれない。1年目はあんまり話をしたりしなかったけれど、まぁ3年も一緒のクラスだったらそれなりに親しくもなるわけで。

一般的な学校とは違って、この学校は選択科目の時間がありえないくらいに多い。
だからおんなじクラスになったって、朝と帰りとホームルーム活動以外に全く顔を合わせないことも有り得るし、だから一年まるで話さないクラスメイトだってざらにいる。

ゴールドには、好きも嫌いもない。ただまぁ、狙ってもないのに選択科目がかなり被ってるし、目に付きやすいから。
って、ゴールドなんてどうでもいいんだって。今わたしにとって重要なのは、そいつの親友。

わたしの気になる、というか、好きな人は、シルバーといいます。

 

2010.08.16. up.

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