Lucid Dream




目が覚めると、私はベッドで、仰向けに寝転がっていた。
でこがむちゃくちゃ痛いと思いながら起き上がると、枕があるはずの場所に、電源がついたDSがあった。

おそらく孵化途中で寝落ちしたのだろう、電池ランプが赤色になったDSを開くと、そこには『今回の戦いをバトルビデオに記憶しますか?』の文字が浮かんでいた。対面には、黒いサブマスのキャラドット。
それを眺めること、1分。矢印を“はい”に合わせてAボタンを押した。


うっすらと四角くへこんだ額に湿布を張って、日曜日にしても遅い朝食を作る。一人暮らしはこれだからいけない。
うすく焼き色のついた食パンに歯型をつけた時、ふと、あのバトルビデオが気になって、充電アダプターを差し込んだDSを引き寄せた。

女主人公のいる場所は、どこかのプラットフォーム。となりには緑色の制服のキャラドットと、同じく緑色のトレインが横付けになっている。
Xボタンを押し、バッグ、そして大切なものを選ぶ。バトルレコーダーはその一番上にあった。つかう、を選ぶ。また緑の画面。今日は緑に縁のある日だ。


「…うわ、なんでそこでドラクロ選ぶよ」


いわ・むしポケモン相手なら、威力80のドラゴンクローより威力100の地震を選んだ方がまだマシである。
更に言うならここで外れても勝てるバトルなのだから、ストーンエッジでダメージ2倍を狙うのが当たり前だろう。


「眠いからって操作ミスしてるな、これ。うわだっさ、廃人の風上にも置けん」


結果的には2−0と圧勝しているものの、その内容は酷いものである。
記録を消す、を指で押す。自分の記録を消す、を指で押す。


の バトルビデオを 消しても よろしいですか?』


はい、に指を伸ばす。


「…………」


いいえ、を指で押す。
今わざわざ消さなくても、残したいバトルがあった時にバトルビデオを上書きすればいい。


「……これから、どうしよっかなぁ…」


ノーマルシングルに挑んだ時、たまごとウルガモスはボックスに預けたらしい。
狙い通りのてんのめぐみトゲピーもボックスに預けられており、きちんとV判定にはマーキングもしてあった。
いつもなら、いつも通りドーピングをしてポケルスに感染させ、パワー系アイテムをもたせて努力値を振るのだが。


「なんか…やる気わかないな……、ポケモン飽きたとか?まじかよ勘弁してよどんだけ時間使ってきたと思ってるよ自分…」


気の乗らないまま、なんとなくボックスを眺めていく。
前半は主に孵化用に空けている。ボックス名は「ふか」。安直にも程がある。
後半に差し掛かるころにボックス名が変わり、「メタモン」。ボックス内は紫色のスライムで埋まっている。

それ以降は、全国図鑑を完成させるために前作から持ってきたポケモンが適当に突っ込まれている。


「…うわ、ライボルトとかなんでいるんだろう。完全にサンダースの劣化ポケじゃん…」


けれど、エメラルドプレイ時は、何度リセットしてもいつもライボルトをメンバーに入れていた。
このライボルトがいなかったら、ミクリのミロカロスはパーティの他の誰にも倒せなかっただろう。


「……劣化っていっても、オーバーヒートが使えるのはライボルトだけなんだよな。差別化出来ないこともないし…。――マイナーだけど、育ててみるか?」


いわゆる厨ポケをボックスに送り、代わりに直感で気になったポケモンを選んでいく。厨ポケたちもいつかまた使うことになるだろうが、ひとまず今選んだポケモンに飽きるまではお休みしてもらうことにする。

それから本屋で買った紙のポケモン全国図鑑を本棚から抜き取り、ページをめくった。BW環境ではほとんど対戦したことの無い彼らが何を覚えるか、一から覚えなければならない。


しばらくは、そうやって遊んだ。

マイナーなポケモンは、正直スーパーでは相手にならなかった。
だからここ最近はもっぱらノーマルトレインで力試しをしている。以前は初心者トレインと馬鹿にしていたその車両が、今は主な活動場所になった。

ノーマルだろうと対人だろうと勝てない時の方が多いが、今は勝てるポケモンで当然勝ち進むより、勝てないポケモンでなんとか勝ちを掴む方がずっと楽しいと感じている。もちろん、そう簡単に勝てやしないが。

しかし、組合せと運の巡り合わせによっては、とんとん拍子に勝てる日もあり。
“二度目”が訪れたのは、厨パーティを止めて初めて20連勝した半年後のことだった。

2012.03.22. up.

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