「ぼくクダリ。ノボリと一緒に負けちゃった。君たちのコンビネーション最高バツグン!ものすごーく強いトレーナー!…うん!最高におもしろかった!でも今度はスーパーマルチで戦いたいな!!」
「ブラボー!あなた様方に見せていただいたのはトレーナーとしてのきらめきです。ですが一言、言わせて頂きましょう!私たちに勝利したのも人生の通過点。あなた様方ならもっともっと上を、具体的にはスーパーマルチも目指せましょう。更なる目標に向かって爆走なさって下さいまし!」
…えっと、なんかごめん。
そこまでスーパー押しされても、ちょっともう、疲れた。当分マルチはいいや。おなかいっぱいだよ。
ずいぶんと久しぶりに、このプラットホームに戻った気がする。
時間にすれば数時間のことだけれど、トウヤくんとこうしてマルチが組めたのはいい経験と思い出になった。これでさよならなのはさみしいけどね。
「トウヤくん、今日は誘ってくれてありがとね。楽しかった」
「さん、オレもすっごく楽しかったです」
でも、今日はもう休んで、あちらに帰らないと。
いい加減帰らないと仕事のやり方を忘れそうだ。
それから、また一からパーティ組みなおして、シングル周回でBPを稼ぐかな。
そうだ、それがいい。ダブルもマルチも、戦略を考えるのは楽しいけれど、頭を使うからその分疲れる。BPを稼ぐにはやっぱりシングルが一番効率が良い。
そうと決まれば、帰る準備をしないと。
「…あの、さん、」
「ん?なあに、トウヤくん」
だけど思いのほかトウヤくんが名残惜しそうな顔をしていたから、思わずお姉さんぶって聞き返してしまう。
…違うから。英雄だったら、みりょう、とかカリスマ性、とか常にスキル付加されてるもんだよ、私がショタコンだからとかそういう理由じゃない。違うから。
「オレたち、どこか似てません?さんの方が大人だし、顔はそんなに似てないですけど…」
「ぼくも思った!ね、ノボリ!」
「わっ」
背後からどーんっと衝撃を受け、慌てて地面を踏みしめて耐える。
こんなことをするのは白ボスしかいない。ナチュラルに胸あたりに腕が回っているけど偶然だよね気付かないほど小さいとかそんなわけないよね。
「そうですね。息の合わせ方、コンビネーション、まるで双子のトレーナーと対戦しているようでした。それから離れなさい」
「うわっ」
べりっと白ボスを剥がされ、今度は反対方向に倒れそうになる。
ちゃんと両足をついてから振り返ると、そこには黒白両ボスがいた。
視線が合うと「さっきぶりー」「無事ライモン駅に到着なさったようですね」とそれぞれから反応が返ってくる。仕事しろよ。
「でも顔が似てないってことは、ぼく達と違って二卵性かな?」
「そもそも年齢の違う双子などいるはずがないでしょう。例え話ですよ、クダリ」
双子か。
もともと半身みたいなもののはずだから、その例え話もあながち外れてないかもしれない。
「トウヤくんって、兄弟や姉妹はいるの?」
「いえ、一人っ子です。あ、でも妹みたいな幼馴染はいます」
「へぇ、じゃあ、わたしトウヤくんのおねえちゃんになろうかな」
「えっ」
「えっ」
「えっ」
「えっ、駄目ですか?トウヤくんみたいな弟が欲しいなって思ったんですけど。あ、でもトウヤくんが嫌か。調子に乗ってごめんね」
「いいえ!!びっくりしただけで、さんが姉になってくれるなら本当に嬉しいです。バトルの組み立て方とか、教えてほしいことが色々あって!」
「私に教えられるかなぁ…。ここは廃人のすくつ(なぜか変換できない)だから先生には事欠かないけどね。…って白ボスと黒ボス、いつまでそこにいるんですか?仕事はいいんですか?」
あんまり静かだったからスルーしてたけど、普通にいるしさ。
両ボスの給料査定が下がるのはどうでもいいけど、部下に負担掛けるのは見過ごせん。この数年で、名のある鉄道員さんたちともそれなりに仲良くなったんだよ。詳しい経緯は割愛するけど。
「だって、の弟になるってことは、トウヤがぼくの弟になるってわけでしょ?これって大事な話!」
「その発想はおかしいです」
「そして、わたくしの弟でもありますね」
「その発想もおかしいです」
あなた達と兄弟の盃を交わした覚えはねぇよ。
「よく分かりませんが、オレより弱い人を兄と呼ぶ気はないですよ」
えっそれじゃ私も駄目じゃない?
あ、お姉ちゃんはいいの?
「その条件をクリアする人物を探すのは、6Vサザンドラを野生で捕獲するレベルの難易度でございます…」
「うわーんサブウェイルールがなかったら!なかったら!!」
「トウヤくんの6匹、オール100レベですけどね。――でもトウヤくんの運命力ってほんとに凄いよね。私は運悪くて」
「そうなんですか?」
「前、こだわりアイテム持ちで一撃必殺技縛りしたんだけどね、黒ボスに行き着くのに時間が掛かって掛かって…」
「えっ、なにそれ面白い。kwsk」